3月18日に発生した、雪崩死亡事故について続報発生経緯
発生後の情報
後志管内積丹町の積丹岳(一、二五五メートル)で三月、スノーモービルに乗っていた男性四人が死亡した雪崩事故で、道警は二十六日までに、「雪崩の予見は難しかった」とする専門家の鑑定結果を得たことなどから、業務上過失致死傷容疑で参加者らを立件しない方針を固めた。道警は既に遺族の一部にこの方針を伝えた。四人の犠牲者を出した遭難から八カ月を経て、道警は、刑事責任を問えない予想の難しい事故だったと判断した。
道警は、これまでの捜査で《1》事故直前に一行の一部から天候悪化を理由に下山を促す声が上がっていた《2》一行がモービルで斜面を踏み固めている最中に雪崩が起きた−などから、参加者らが天候や雪の状況を考慮しなかったことが雪崩発生に結びついた可能性があるとみていた。
道警が専門家に依頼した鑑定では、現場にいた一行が事故前に斜面でモービルで登り下りした際には、雪崩の兆候がなかったことを重視。また、モービル走行による衝撃と雪崩の発生との因果関係についての研究実績が乏しく、一行が雪崩の危険を予想することは難しかったと結論づけた。
一方で鑑定は、一行の多くが遭難時に使う「ビーコン」(電波受発信装置)を携帯していなかったために被害が拡大したとして、安全装備については厳しく指摘した。
また、道警による関係者らの聴取で、一行はモービルの走行シーンを撮影していたことが分かったが、営利目的や参加費を徴収するツアーでなく、計画した人物やリーダーも判然としなかった。さらに、遺族の多くが「犯人捜しはやめてほしい」として、刑事責任の追及を望まなかったことも考慮されたとみられる。
雪崩をめぐっては、一九九八年一月、後志管内倶知安町のニセコアンヌプリで女性一人が雪崩に巻き込まれ死亡した事故で、雪崩の多発で立ち入り禁止となっていた現場に連れて行ったとして、山岳ガイド二人が業務上過失致死容疑で書類送検された例などはあるが、多くは立件されていない。二十三日に上川管内上富良野町の上ホロカメットク山で四人が死亡した雪崩事故についても、道警は雪崩の発生時の状況などについて、関係者から詳しく聴いている。
北海道新聞より