2008.02.12 Tuesday
「来るぞ」 数秒で遭難。中央ア雪崩で脱出の男性、「引き返すべきだった」
「途中で引き返すべきだったかもしれない」――。宮田村の中央アルプス・和合山の南側斜面で9日午後に起きた雪崩事故。意識不明となり、現場に取り残された岡山市西大寺中野、会社役員塩田さん(67)とともに、雪崩に巻きこまれ、自力で脱出した神奈川県平塚市の男性会社員(47)らが10日、ホテル千畳敷で読売新聞の取材に応じた。この日、塩田さんの救出は、悪天候に阻まれ、進まなかった。
男性4人、女性2人のパーティーは山岳写真の撮影で知り合った仲間。9日午後1時40分ごろ、「駒ヶ岳ロープウェイ」千畳敷駅を出発し、宝剣山荘を目指していた。
午後4時45分ごろ、男性会社員は、先を歩いていたリーダー格の男性の「来るぞ」という声を聞いた。その2、3秒後、視界は真っ白になり、体が吹き飛ばされた。雪面にピッケルを刺してようやく止まったが、全身は雪に埋まっていた。
しばらくもうろうとしたが、顔の前の雪をかいて、頭を雪上に出し、リュックをはずして、ようやく雪から抜け出した。約50メートル上に塩田さんの手袋が見え、20メートル下には岡山県真庭市の主婦(62)の顔が見えた。主婦を救出した後、塩田さんのところへ行くと、頭を斜め下に向けて雪に埋まっていた。両手で雪を約60センチ掘って、ようやく助け出すと、塩田さんは額から出血していた。
タオルで止血し、体をさすって温めたが、塩田さんの意識は戻らず、携帯電話で連絡をとったホテル千畳敷からは、「二重遭難の恐れがあり、救助は出せない。何とか自力で帰って来て」と言われた。塩田さんを運ぶことは不可能で、雪崩発生から約2時間15分後、主婦と2人でホテルにたどりついたという。
一行が千畳敷駅を出発する前、地元の「中央アルプス地区山岳遭難防止対策協会」の担当者は「天気が崩れるから、きょうはやめた方がいい」と伝えていた。
登山開始から2時間近くたったころ、男性会社員は、山側から新雪がさらさらと流れ落ちるのを見たという。これは、地元山岳関係者が「チリ雪崩」と呼ぶ雪崩の前兆現象とみられるが、男性会社員は、「過去に何度も登ったコースだったので、登り続けてしまった」と話している。
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読売新聞より
男性4人、女性2人のパーティーは山岳写真の撮影で知り合った仲間。9日午後1時40分ごろ、「駒ヶ岳ロープウェイ」千畳敷駅を出発し、宝剣山荘を目指していた。
午後4時45分ごろ、男性会社員は、先を歩いていたリーダー格の男性の「来るぞ」という声を聞いた。その2、3秒後、視界は真っ白になり、体が吹き飛ばされた。雪面にピッケルを刺してようやく止まったが、全身は雪に埋まっていた。
しばらくもうろうとしたが、顔の前の雪をかいて、頭を雪上に出し、リュックをはずして、ようやく雪から抜け出した。約50メートル上に塩田さんの手袋が見え、20メートル下には岡山県真庭市の主婦(62)の顔が見えた。主婦を救出した後、塩田さんのところへ行くと、頭を斜め下に向けて雪に埋まっていた。両手で雪を約60センチ掘って、ようやく助け出すと、塩田さんは額から出血していた。
タオルで止血し、体をさすって温めたが、塩田さんの意識は戻らず、携帯電話で連絡をとったホテル千畳敷からは、「二重遭難の恐れがあり、救助は出せない。何とか自力で帰って来て」と言われた。塩田さんを運ぶことは不可能で、雪崩発生から約2時間15分後、主婦と2人でホテルにたどりついたという。
一行が千畳敷駅を出発する前、地元の「中央アルプス地区山岳遭難防止対策協会」の担当者は「天気が崩れるから、きょうはやめた方がいい」と伝えていた。
登山開始から2時間近くたったころ、男性会社員は、山側から新雪がさらさらと流れ落ちるのを見たという。これは、地元山岳関係者が「チリ雪崩」と呼ぶ雪崩の前兆現象とみられるが、男性会社員は、「過去に何度も登ったコースだったので、登り続けてしまった」と話している。
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読売新聞より